第14期『ハートフル大学』 第5回講演
1.開催日時 |
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9月12日(土) 13:00〜15:00 |
2.講師 |
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相星雅子氏(作家) |
3.演題 |
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「鉛筆を杖として」 |
第5回講演 概要
9月12日、『ハートフル大学』第5回講演が開校しました。ご講師は鹿児島の作家の相星雅子さん。相星さんは「鉛筆を杖として」という演題で、戦時中、旧満州で生まれ育った幼少期から続く、自分にとって「恥ずかしい」「罪深い」とする戦中戦後の体験と、その「恥と傷」を癒す文学との出会い。そしてその経験を活かす小説家としての思いを通して、人生における「恥と傷」の意味をお話し下さいました。
〜 私は取り返しのつかない罪を犯してしまった 〜
昭和21年、戦争が終わって中国から日本に帰る、本当に待ちに待った引揚げ船の出る日のことです。そのとき、私は決定的な罪を犯してしまいました。
〜 文学から癒しと許しという贈り物をもらった 〜
パール・バックの『大地』、山本有三の『路傍の石』など、たくさんの本を一生懸命読みました。読むと心が何日も痛む作品も多かったです。 ですが、その痛みが去った後の精神状態というのはとてもよかったんです。それらの小説を読むことによって、私は本当に癒されました。
〜 恥と傷こそが人生の醍醐味 〜
旧満州で弟を失いかけたことは『遠い町』、引揚げのときに船を乗り違えて、子どもが1人いなくなった事件は、『光景』という作品に書きました。 そうやって私は、何か書くものはないかと探して、自分の恥と傷をいっぱい書きました。自慢なんか書いたら小説にはならないんです。傷と恥こそが小説の一番の題材なんです。 。
(『ハートフル大学』コミュニケーション誌「ハートフル」講演録より一部抜粋)